漢方によるがん治療の役割と働き
現代がん治療において、漢方薬を取り入れるケースはとても多くみられます。もちろん日本では、西洋医学の治療の代替療法や補完療法としての位置づけになりますが、漢方により期待される効果を得ることが出来るために、希望する患者さんや採り入れられている医師との信頼を築いています。
多くのケースでは、漢方薬を補薬として用います。補薬とは文字通り、エネルギーや体の正気を補う薬のことです。生命活動に必要な「気」・「血」・「津液(水)」を補って、治療後の体力回復や臓腑や組織を回復させることができます。そのために治療後の回復期や治療中の体力低下を防ぐ目的で使用します。
これだけでも患者さんにとってみれば、とてもありがたい効能となります。しかし、漢方の実力はそれだけではありません。むしろ、根本治療が漢方の得意とするところなので、再発防止も期待ができるのです。
中国における漢方によるがん治療の現状
中国におけるがん治療は、驚きの歴史があります。実は2400年前には原理が解明されて治療法が確立し、書物にも残されていました。主にその内容は、体にどのようなストレスが加わるとがんが生まれるかという理論となります。そして、中国で古来より伝わる伝統医学は、がんに限らずその疾患はどのような経緯を経て現在に至ったかを考えて利用を行います。
少し抽象的すぎてイメージも沸きにくいので、肝臓がんを例に挙げて解説します。肝臓は〝沈黙の内臓〟と言われるように、ひどくなってからがんと診断されることがあります。それはなぜか。実は肝臓が原因ではなく、別の臓腑の影響を受けてがんが肝臓に見つかったという診断もあります。たとえば、食事で脂質や糖質の多い物をよく食している場合、体で消費するより多くの栄養が体に残ってしまうことがあります。いわゆる食べ過ぎ飲み過ぎている方ですが、運動不足である場合なども含まれます。肝臓にその余分な栄養が堆積してしまいますので、それが原因で肝臓がんになることもあります。この場合は食生活を改善しないと再発の恐れがつきまといます。
他にも頻尿を患っている患者さんは、適切に体の毒素を排出できない可能性があります。人の体は、飲食物で身体の気血を作るとされ、全身を巡ったあとに体に生まれた排泄物を尿として捨てます。これがきちんと排尿できていないと、体に蓄積されます。その場所が肝臓の場合もあります。すると、腎臓由来の肝臓がんができる可能性もあります。
この場合、肝臓を治療することはもちろん重要ですが、もっと大切なのはその原因を作った腎臓をきちんとケアすることが重要となります。
他にもオーバーワークなどで疲労が蓄積しているとき、糖尿病などで毒素の排泄が困難なとき、心疾患などで血液循環に問題があって代謝に問題が生じているときなど、それぞれ原因が異なり、その治療方法も異なります。
このように中国でのがん治療は、気血を補うだけではなく、同じがんも患者さんごとにその発生の機序を理解し、患者さんに合わせた治療を行います。
漢方がん治療の第一人者・王振国先生との医学交流から学んだこと
中国での漢方薬によるがん治療の第一人者である王振国先生と医学交流をする機会を得て、現代の中国でのがん治療をご指導いただきました。中でも特徴的だったのは、患者さんを病人として扱うのではなく、人間として扱う中国古来よりの意識でした。特に体と心の両方を必ず意識して治療を行うことは、今でも強く心に刻まれています。
心の治療には、さまざまなステップを経て治療に向かいます。これらは順番があるわけではなく、患者さんの状態にあわせて選択します。その中の1つに学習療法があり、今の体質がどのような状態になっているのか。その体質からなぜがんが発生したのか。これを行うことで何をすべきかを明確にしていきます。
他には、対話による開示療法や心の安寧療法などがあります。これは中国医学ならではの陰陽を併せ持つ治療法になります。心理状態に向かい合い、対話によってそれを解放します。時には大きな不安と直面することになります。患者さんにとって大きな不安になることもあります。ですから必ず誰かと行う必要があり、対話という形式をとります。この状態は心を外に開くので陽とすると、陰は逆に内に向かって安定させることになります。これを安寧療法と言います。少し難しい表現なのでかみ砕いて言うと、「心のよりどころ療法」です。それが人によっては自宅という空間や場所の場合もあるし、信仰している宗教の場合もあります。時には仲間や家族という場合もあります。人それぞれ安寧させる方法を持っています。ですが、無意識でそれらを手にしていることが多いので、時には新たに作り出す場合もあります。
そして、心の治療の最後は肝要療法です。これもわかりやすく言い替えると、「人から必要とされること」です。王先生の病院では、入院しているがん患者さんにさまざまな仕事を手伝ってもらうこともあるそうです。簡易な日常の作業や、専門技術を必要とするような作業まで行ってもらい、人は誰かのために行動することで人から必要とされていると感じると、喜びや、やる気も生まれてきます。これが心の栄養となります。
心と体は一対であると考える中医学では、これらの治療をとても重要視します。そして、次に体の治療となります。これには気功などの運動療法、薬浴療法、薬膳料理の食事療法などがあります。そして、漢方薬です。
王振国先生の研究開発した抗がん漢方薬(天仙液)について検証する
古来の漢方治療では、体質改善を中心とします。それにより、体の気力体力を増強したり、免疫力を上げたりという使い方が主となります。もちろん体質を改善しますので、再発予防やがんを抑制する効果も期待できます。しかし、がん細胞やがんの数値に対しての治療はあまり主にしていません。なぜなら体内のがん細胞やがんの数値というのは、レントゲンや血液検査という西洋医学の進化により生まれた検査法のため、2000年以上前に完成された中医学ではない概念です。ですから、がん細胞を抑制するという治療法は、漢方薬による療法ではあまり治療例が挙がっていませんでした。
しかし、その漢方の概念を覆したのが、王振国先生が研究開発した抗がん漢方薬の「天仙液」です。天仙液は補気剤と言われる人参を中心に、浄血作用といわれる血液をきれいにする作用の霊芝や冬虫夏草を用いて構成されています。もちろん生薬のみで構成されています。漢方薬ではすべて天然素材を用いるために、産地や生成方法に特徴があります。同じ成分の生薬であっても、産地が違っていると期待する効能が得られないときがあります。王先生はその生薬にもこだわっているとお話しいただきました。
しかも、その規模がびっくりする規模です。私のような日本人レベルの考えですと、生薬を栽培し肥料やハウス栽培で温度管理によって安定した栽培を行おうと考えます。しかし、王先生のレベルは大陸思想というのか中華思想のレベルでした。中国の自然豊かな湖と山の写真を私に見せてくださり、そこにある建物を指して、「ここが長白山にある私の病院。そして、写真に写っているところの山は漢方の自然栽培用の山で、すべて私の土地です」と話されました。なんと王先生は漢方の自然栽培を行うために薬草の宝庫と言われる長白山の山を原生林ごと購入し、環境破壊をさせない自然の環境のまま保存し、天の恩恵を受けた薬草を生薬とし、抗がん漢方薬として天仙液に使用しています。
その抗がん漢方薬の天仙液ですが、使用法についても王先生にお話を伺いました。発症時のがんの成長の抑制、他の三大療法と言われる抗がん剤や放射線治療の際の副作用の軽減としての体力増強、転移・再発の予防などに作用・効果を発揮すると数々の論文を見せていただきました。論文では、日本で行ったマウスによる天仙液の抗腫瘍作用に関する試験で、腫瘍を移植したマウスに抗がん漢方薬を経口投与したところ、84%の腫瘍抑制率を示し、高い抗がん効果が実証されています(この数値は天仙液S)。
これからのがん治療のあり方
今までのがん治療は、三大療法を中心にそれ以外は代替医療として扱われてきました。しかし、これからは抗がん漢方薬も用いて統合医療として治療が行われると思います。それには令和6年に中国医学協会で開発した舌診アプリや、脈診デバイスを活用して中医学理論の診断を参考に漢方薬や、体質に合わせた薬膳の食事療法、鍼灸マッサージや運動養生などを行っていくことになると思います。
近未来のがん治療は、これまでお話ししてきた2000年以上前から受け継がれてきた古代の叡智の中医理論と、さらに舌診アプリや脈診デバイスなどの最先端科学技術を用いることで、さらなる進化を遂げると思っています。
本記事内のございます「天仙液」については、弊社発行の『がんを治す新漢方療法』に詳しく記載されています。
『がんを治す新漢方療法』
(クリピュア刊)
※なお、外部サイトになりますが、本文中の「天仙液」の公式サイトについては、下記を御覧ください。
天仙液公式サイト