年齢のことは忘れ、ときめくことに挑戦するのが若返り・健康の秘訣
たとえば40歳代に突入すると「もう40を過ぎたから……」と年齢を理由に、若い頃には普通に楽しんでいたことを遠ざけてしまう人は思いの外、多いようです。確かに人は誰でも齢を重ねれば体力が低下したり、心の粘りが弱くなったりするものです。しかし、何もフルマラソンを完走する肉体や精神が必要なわけではありません。体力・気力の衰退を言い訳にして楽しんでいたことを諦めてしまえば、胸のときめきは減弱してしまう一方です。
自分の年齢に対する捉え方は人それぞれです。たとえば同じ40歳でも、「もう40」と考える人もいれば、「まだ40」と思える人もいます。前者には、健康維持や病気の回避に過敏になり、歳を重ねていくことに負い目を感じている人が結構いるようです。皮肉なもので、そのようなタイプの人ほど体調を崩しやすく、病魔に見舞われやすい傾向があるように思います。年齢を口実にして「守りに徹した生き方」に転じてしまえば「気」が低くなり病気になりやすくなってしまうのでしょう。ですから、「今はちょっと無理かな……」と感じる程度のハードルなら、ときめくことはどんどんやったほうがいい。私からすれば、40歳代・50歳代はまだまだ青年期です。
自身、胸のときめきが「攻めの養生」だと思っているからなのか、それほど歳を取ったような気がしません。それに、老いることに対し、恐れも不安もそれほどありません。そのためか、60歳代がいちばんいい頃だろうと思っていたのですが、70歳代も悪くはないなと思っていました。そして、80歳代になってもその気持ちは変わっていません。ときめくことへの挑戦こそが、若返りや健康のいちばんの秘訣だと思います。
ときめきのためにお金を使う
お金を節約するのはいいことですが、度が過ぎるとケチになってしまいます。「ケチで結構」という人もいるでしょうが、ケチになるほど心のときめきが減ってくるものです。節約をするにしても、ときめきを覚えることにはお金を使ったほうがいい。ここぞというときにお金を使うのがうまい人は節約も上手です。
気を付けたいのは、ストレス発散のためにお金を使ってしまうこと。普段は節約しているのに、ストレスが溜まってくると買い物でそれを発散する人は少なくありません。後になって「あんなもの、買わなければよかった……」と後悔しないのであれば、その買い物もある意味でときめきだと言えます。しかし、後悔してしまうのであれば、お金はときめくことに使うのが良策です。
どうしてもお金をケチる人は、どういうときにときめきのためのお金を使うのかを決めておくのも手です。たとえば、「給料日には好きなものを食べに行く」「月に1万円を趣味のために使う」……と決めておけば、ときめきの数が増やせます。
立ち寄れる「ときめきの場」もいいもの
会社の就業時間が終了すると、真っ直ぐに家路につく人は珍しくありません。確かに、自宅と職場を往復する〝伝書鳩〟になれば、お金と時間の無駄にはなりません。しかし、それではときめく機会が少なくなってしまいます。たとえ週に1回でもいいので、職場からの帰路に立ち寄れる居場所をつくってみるのもいいものです。
家で趣味の時間を楽しむからいい。晩酌は自宅でするからいい。そのような人も多いでしょうが、ときには真っ直ぐに帰宅したくないこともあるはず。そんなとき、逃げ場にもなる「ときめきの場」があると助かるものです。
まずは家路を最短距離で歩かないところから始めてみてはいかがでしょうか。ウォーキングを楽しむ感覚で、少し遠回りしてみるのもいいでしょう。あるいは、自宅の最寄り駅の書店や喫茶店などに寄ってみるだけでもいいのです。そのような簡単に実行に移せることから始めてみてください。そして、「ときめきの場」を持つ楽しさがわかれば、行き付けの酒場を開拓するのもいいでしょう。馴染み客になれば知り合いもでき、結構楽しいものです。
こうした場は、自分の都合のいいときだけ利用できるのも便利です。ちょっとした寄り道だけでも、マンネリ化した日常にアクセントを付けることができるはずです。
心がときめく趣味や習慣を持つ
パソコンやスマートフォン、インターネットなどの普及によって、現代は情報化社会・スピード化時代となっています。それに伴い、心身の疲弊を訴える人が増えてきました。そうなると無気力状態に陥り、休日は家に引き籠ってしまいがちです。生真面目な人ほど、ベストの状態で働けるように体を休めようと考え、いたずらに家で時間を空費します。それでは、ときめきの数が減ってしまい、無気力状態に拍車がかかってしまいます。
もちろん、体を休めることは大切です。けれども、休息だけではストレスの解消にはなりませんし、仕事とプライベートの切り替えがうまくいかないこともあるでしょう。体を休めてばかりではなく、心がときめく趣味や習慣を持って気持ちをリフレッシュさせたほうがいいのです。
そんなに難しく考えることはありません。先述のように、近所の喫茶店の扉を開けることから始めてもかまいません。たとえば、私は読書が趣味の1つなので、書店に行くのも心がときめくときです。私は土曜・日曜に原稿を書いたり、講演のために地方に行ったりすることが多いので、よく都内のホテルに泊まっているのですが、午後3時にチェックアウトしてから書店巡りをして、午後5時に一献傾けるパターンが「ときめきの習慣」になっています。
楽しむのは人間の生まれつきの性質
生真面目な人は、努力家で仕事の面で優秀な場合が多いのですが、人間関係を窮屈に考えがちです。そのため、ストレスを溜め込んでしまいがちです。それに対し、不真面目な側面もある人は、楽天的で趣味や遊びに精通している場合が多く、懐の深さがあります。加えて、ストレスとの付き合い方が上手なのも特長の1つです。前者は、規則正しい生活を送り、健康にも気を遣って節制している人が多い。後者は、健康には無頓着で、ときにはときめきに身を任せて好きなものをたらふく食べたり、お酒をたくさん飲んだり、夜更かししたりする人が少なくないようです。それでいて、真面目な人が不真面目な面もある人より病気にかかりやすい傾向があるようです。生真面目な人からすれば、割に合わないような気がするし、羨ましい感じがするかもしれません。それならば、生真面目な人も、たまにはときめきに身を任せ、少しは羽目を外してもいいのではないでしょうか。
これも難しく考えるのではなく、まずは「〜〜しなければならない」と義務感に縛られることをやめてみることです。生き方や健康法は、我慢を強いられてはストレスが溜まるばかりです。江戸時代の本草学者(中国古来の植物を中心とする薬物学の研究者)・儒学者で、『養生訓』を著した貝原益軒も、こう言っています。
「楽しむのは人間の生まれつきの性質なのだから、いつも養生の道に従って欲を自制しつつも、楽しみを失ってはならない」と。
帯津三敬塾クリニック
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